DTM関連用語集 か行
か
- 可聴域
-
動物が認識できる音の周波数の範囲。
人の可聴域は20Hz~20000Hz(20kHz)程度とされる。
ただし加齢とともに高音が聞き取りにくくなっていく。
可聴域の範囲外の音を超音波という。音楽CDは44.1kHz(44100Hz)のサンプリング周波数で収録されており、これは半分の22.05kHzまでの音を再現できる。
つまり人の可聴域はすべてカバーしている。
可聴域外の音は音として認識できないため不要ともされるが、音とは認識できなくとも体が振動を感じるので無意味ではない、という見解もある。
ハイレゾ(High Resolution)と呼ばれる音源はCD音源以上のサンプリング周波数(48kHzや96kHz)で収録されている。 - カットオフ
-
フィルターの種類のうち、ある周波数以上(以下)の音を削るもの。
カットオフフィルターともいう。
シェルビングタイプのイコライザーに動作は似ているが、増幅がなく削減のみである。
削減する割合は固定か、あらかじめ用意された数種程度であることが多い。
シンセサイザーによく搭載されている。 - カットオフフリーケンシー
-
カットオフの設定値のこと。
カットオフ周波数とも言う。
「Frequency」を訳すと周波数になる。
LFOを使用することで周期的に値を変化させることができる。 - カデンツ
-
終止形へと向かうひとかたまりのコード進行のこと。
- T→D→T
- T→S→D→T
- T→S→T
- T→D→S→T
の四種類がある。
(T=トニック、S→サブドミナント、D=ドミナント)
最後のカデンツはクラシックでは用いられない。 - 関係調
-
ある調に関係の深い調のこと。
五度圏で見た時に上下、左右、斜めに位置する調を近親調と呼ぶ。
例えばAmならば「C」「Dm」「Em」「F」「G」が近親調。
これに同主調を加えたものを関係調と呼ぶ。
同主調は長調と短調を逆転したもの。
(ハ長調からみたハ短調、またはその逆)
き
- キー
-
楽曲の基本となる音程のこと。
日本語では「調」という。
「ハ長調」と「Cメジャースケール」は同義となり、どちらもキーは「C」になる。 - キースイッチ
-
MIDI音源に搭載されている機能のひとつで、あるノートメッセージを受信した場合に、再生されるサンプルを切り替える機能。
低音部や高音部などの通常は使わない音域のノートに割り当て、楽器の特殊奏法などを再現するために用いられる。例えばギターなどの多様な奏法がある楽器の場合、再現するには奏法ごとに新たにパッチ(音色ファイル)を用意するなどの方法を用いる必要がある。
この方法では使用したい奏法の数だけパッチを読み込み、その数だけトラックを立ち上げる必要がある。
ほかにはベロシティスイッチにより奏法を切り替えるという方法もあるが、特殊奏法のベロシティが再現できないという問題があるし、せいぜいひとつかふたつ程度の奏法にしか対応できない。キースイッチは、あるノートがオンの場合(鍵盤が押されている場合)は特殊奏法に切り替える、といったことが可能となる。
例えばギターの場合は最低音がE2なのでそれ以下の音程は使用されない。
(MIDI音源には各楽器が出せる音域を無視して発音出来てしまうものも多いが普通はやらない)
なのでそれ以下の音域にキースイッチを割り当て、キースイッチがオフの場合は通常奏法、C1がオンの場合はミュート奏法、D1がオンの場合はスライド奏法…といった具合に音色を切り替える。
感覚としてはサスティンペダルに似ていて、特殊奏法を使用する間は対応したキースイッチをオンにする感じである。
この辺の処理は音源ごとに異なるので、通常奏法に戻すにはそれ用のキースイッチをオンにする必要があるものもある。この方式だと特殊奏法にもベロシティが設定できるので、ベロシティスイッチと組み合わせてよりリアルに再現できるし、多くの奏法にも対応できる。
また特殊なMIDIメッセージではなくノートに機能を割り当てることで、指定の鍵盤を押すだけで奏法の切り替えが出来る。
このためMIDIキーボードでの演奏時にも複数の奏法をリアルタイムに切り替えることが可能となっている。
特に大容量のソフトシンセによく搭載されている。■キースイッチの例
- ギター
-
弦楽器のひとつで、最もポピュラーな楽器のひとつ。
大別してアコギとエレキの2種類に分類される。
標準で6本の弦が張られており、ピックで弾く「ピック奏法」、指で直接弦を弾く「フィンガーピッキング」が音を出す基本的な奏法。GM音源ではPC25~PC32にギターが割り振られている。
打ち込みで再現するのが最も難しい楽器のひとつ。
慣れるまではアコギのアルペジオ程度にしておくのが無難。 - ギターアンプ
-
エレキギターを接続し、音を増幅してスピーカーから出力する装置。
単純に音を大きくする用途だけでなく、入力信号を過大に増幅することにより音を歪ませ、積極的に音作りに利用することも多い。
メーカーや種類によって音に違いがあり、ギタリストは曲によってアンプを使い分けたりする。
有名なメーカーには「Marshall(マーシャル)」「Peavey(ピーヴィー)」などがある。DTMではVSTなどのエフェクターにアンプシミュレーターがある。
ソフト音源などに掛けるだけでなく、パソコンにギターを接続してリアルタイムに演奏することも可能。
- 教会旋法
-
西洋音楽で古くから用いられていた旋法(モード)のこと。
西洋音楽は宗教音楽として発展してきたため、教会で用いられていたことに由来する。
古代ギリシャで用いられていたものが基礎となっているらしいが、現在使用されている教会旋法とは別物。教会旋法は全音階を構成音とし、基準となる中心音をひとつずつずらしたものとなる。
そのため全部で7種類ある。- 第1音・アイオニアン(イオニアン)
- 第2音・ドリアン
- 第3音・フリジアン
- 第4音・リディアン
- 第5音・ミクソリディアン
- 第6音・エオリアン
- 第7音・ロクリアン
第1音から始める「アイオニアン」はメジャースケールと同一の構成音。
第6音から始める「エオリアン」はナチュラルマイナースケールと同一の構成音となっている。
これらは教会旋法から派生したスケールである。
もちろんそれぞれ移調することができるので、7×12で84種類あることになる。上記の旋法は「ある中心音からオクターブ上の中心音まで」をひとくくりとしたもので、正格旋法という。
これに対し「中心音の上下の一オクターブ分をひとくくり」とした旋法もある。
例えばドリアンならば「ラシドレミファソラ」(レが中心音)というもの。
これはヒポドリアと呼ばれるもので、変格旋法という。
(変格には頭に「ヒポ」が付けられる)
ポピュラーミュージックでは変格は使用されず、正格のみが使用される。 - 強進行(きょうしんこう)
-
コード進行のうち、滑らかに繋がる進行のこと。
完全4度上行、長短3度下行、長短2度上行が強進行。
トニック→サブドミナント→ドミナント→トニックの進行はすべて強進行となる。強進行以外の進行を弱進行という。
- 近親調
-
関係調を参照。
く
- 空間系エフェクト(くうかんけいエフェクト)
-
エフェクターの種類のひとつ。
原音にリバーブやディレイなど残響音を付加し、空間の鳴りをシミュレートするエフェクターをまとめてこう呼ぶ。
トラックに直接インサートして使用される場合もあるが、センドエフェクトとして使用することが多い。 - クォンタイズ
-
シーケンサーの機能のひとつ。
MIDIデータのテンポのズレを、あらかじめ指定した設定でタイミングを修正する。
リアルタイム入力時のタイミングのズレを修正するときに重宝する。
通常は四分音符や八分音符などの正確な発音タイミングに修正するが、シーケンサーによっては「ズレ」の数値を設定することで発音タイミングに一定のノリや揺らぎを与えることが出来る機能もある。
(グループクォンタイズ) - 矩形波(くけいは)
-
オシレーターが発振する波形の種類の一つ。
DAWやオシロスコープなどで波形を視覚的に表示すると矩形(四角形)をしているためこう呼ばれる。
よく「硬い音」などと表現される。
英語では「square wave」(スクエアウェーブ)という。 - クリック
- クリッピングノイズ
-
音声信号を過大入力したときに発生するノイズのこと。
→クリップ - クリップ
-
音声信号を過大に入力または増幅することにより発生するノイズ。
クリッピングノイズとも言う。
音割れしたときに「チリチリ」や「プチプチ」と鳴るあれ。
過大入力によりノイズが発生していることを「音がクリップしている」という。 - グルーブクォンタイズ
-
あらかじめ指定したタイミングに音符を揃えるクォンタイズ。
通常のクォンタイズは四分音符や八分音符などのタイミングでしか揃えることが出来ないが、この機能を使えば任意のタイミングでクォンタイズを掛けることが出来る。 - クロマチックパーカッション
-
打楽器のうち、音程を演奏可能なもの。
木琴(マリンバ)や鉄琴(ビブラフォン)などがこれに分類される。
クロマチックとは「半音階」という意味で、ピアノと同じように半音ずつ順番に音を並べていることからこう呼ばれる。
け
- ゲートタイム
-
音符の長さのこと。
特にMIDIで音符の長さを指定するときにこう呼ばれる。
デュレーションとも言う。
MIDIでの四分音符の長さはゲートタイム=480Tickになる。
八分音符はその半分の240Tick。
つまり4/4/拍子の場合、一小節は480×4の1920Tickとなる。
「ゲートタイムを短くする」という場合は四分音符を八分音符等にするのではなく、480Tickを450Tickにする、というニュアンスになる。
(以上は全て分解能480の場合)
- 減算方式(げんざんほうしき)
-
アナログシンセの音作りの方式の一つ。
オシレータによって発音された倍音を含む音を、フィルターで倍音成分を削ることによって音を作る。
元の音から倍音成分を「引く」方式なので減算方式という。
もともと倍音を含まないサイン波にフィルターを掛けてもあまり意味がない。
こ
- コード
-
和音のこと。
2つの異なる音程の音が同時に鳴れば和音となるが、互いの音程の差が大きすぎると響かなくなるため和音にはならない。
またオクターブ同士(高いドと低いドなど)が同時に鳴っても和音とは呼ばれない。西洋音楽では3和音以上が基本となる。
2和音は3和音の省略形と考えられる。
作曲やアレンジをする上でコードを理解することは非常に重要。 - コードの機能(コードのきのう)
-
コードが持つ性格のこと。
最も安定感、終始感のある「トニック」、最も不安定でトニックへ進行したがる「ドミナント」、トニックとドミナントの中間の性格の「サブドミナント」の三つがある。
これらを組み合わせることで曲の展開を作っていく。マイナー系のスケールでは「トニックマイナー」「サブドミナントマイナー」「ドミナントマイナー」がダイアトニックコードに現れる。
基本的な機能はメジャー系と同じだが、ドミナントマイナーは機能が弱いためドミナントが使用されることが多い。 - コード進行(コードしんこう)
-
コード理論の一種で、メロディや曲の展開に合わせてコードが変化すること。
どのように進行するかはコード理論を元に、作曲家やアレンジャーの個性が大きく反映される。
メロディが同じでもコード進行が違うと違った曲のように聞こえる。
大抵の楽曲でコード進行は存在するが、ジャンルによってはコードが変化しない楽曲、またコードの概念がない楽曲もある。 - コードストローク
-
ギターでコードを演奏する際に用いられる、最もポピュラーな奏法。
ストローク奏法。
曲のリズムに合わせて腕を上下に振り、複数の弦を同時に弾き音を出す。
腕を上から下に振り下ろすのを「ダウンストローク」、下から上に振り上げるのを「アップストローク」という。MIDIでは、ダウンストロークは低音から高音へ、アップストロークは高音から低音へ発音をわずかにずらしていくことで再現する。
またギターは6弦あるが、ストローク時に常に全ての弦を鳴らしているわけではない。
曲のアクセントに合わせて、強拍では全ての弦弾き、弱拍では1~2弦あたりの低音の弦は弾かずにそのままにしておくとよりギターらしくなる。コードストロークの例。
前半がコードストローク、後半はアルペジオ奏法。 - コード理論(コードりろん)
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楽曲にコード付けをする際に、音がきれいに響くようにまとめられた理論。
クラシックでは和声学ともいうが、完全に同一ではない。
作曲やアレンジをする上でコード理論は非常に重要。
また理論と言ってもこれが正解というものはないため、作曲者やアレンジャーの個性が発揮出来る部分でもある。
- ゴーストノート
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MIDIの打ち込みで、ベロシティをごく小さくしたノートのこと。
わずかに聞こえるくらいに小さな音になるように設定する。
この小さな音が楽器演奏のノリに繋がることもよくある。
スネアドラムやギターのカッティングなどでよく使用される。 - コードトーン
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和音を構成する音程のこと。
和声音。
CM7コードなら「ド・ミ・ソ・シ」。スケールからコードトーンを省いたものをノンコードトーン(非和声音)という。
- コーラス
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歌声でハーモニーを奏でること。
「アー」とか「ウー」とか意味のない言葉を歌う場合もあれば、ボーカルと同じ歌詞を違う音程で歌う場合もある。
オブリガート的なフレーズを歌うこともよくある。また、MIDI音源やエフェクターでは「コーラス」というエフェクトがある。
これは原音に対してわずかにピッチをずらした音を重ねることにより、音に厚みを出す。
ずらした音を周期的に変化させることにより独特のうねりを生むことも出来る。
MIDIではGS音源やXG音源などにに搭載されており、コントロールチェンジによりでコーラスエフェクトへのセンドレベルを設定する。別の意味として、楽曲の構成のうち1番を1コーラス(ワンコーラス)、2番を2コーラスと数える。
- 五度圏
-
12の調の関係を図で表したもの。
時計回りにひとつ進むと#が一個増える、またはフラットが一個減る。
反時計回りにひとつ進むと#が一個減る、またはフラットが一個増える。 - コンソール
-
音楽関係ではミキサーのこと。
→ミキサー - コントロールチェンジ
-
音源の設定や音色の変化などをコントロールするMIDIメッセージ。
長いのでCCと略される。
CC0~CC127まであるが、定義されている(使用可能な)番号は半分程度、さらに実際のMIDI作成時に使用するメッセージはせいぜい十数程度。
VSTなどのソフト音源を主に使用していて、GM音源を使わないならあまり深く知らなくても大丈夫。コントロールチェンジは「番号」と「値」の2つのデータで構成されていて、「CC7番の値を90にする」という風に使用される。
これらを組み合わせたり連続的に使用することによってMIDIデータの表現力を豊かにする。コントロールチェンジを使った音源の設定や演奏の表現は数多くある。
以下は代表的なもの。
- ビブラート
- チャンネルごとの音量
- パン
- エクスプレッション
- ポルタメント
- ピアノのサスティンペダル
- GM音源に搭載されているリバーブなどのエフェクターへのセンドレベル
- コンプレッサー
-
エフェクターの一種。
入力された音が、設定された音量を超えた場合に音量を抑制して出力する。
コンプ。
音量が不揃いな演奏の音量をある程度揃えたり、積極的な音作りのために使用される。
主に以下の設定(パラメータ)がある。
- スレッショルド:どれだけの音量になれば抑制を開始するかの設定
- レシオ:音量がスレッショルド値を超えた場合、どれだけの割合で抑制するかの設定
- アタック:音量がスレッショルド値を超えた場合、抑制開始するまでの時間の設定
- リリース:音量がスレッショルド値を超えた後、スレッショルド値を下回ったときに抑制を終了するまでの時間の設定
機種によってはスレッショルドは固定で、インプットゲインで入力信号を増減することでスレッショルドに掛かる音量を調整するタイプのものもある。