DTM関連用語集 た行

ダイアトニックコード

メジャースケールまたはナチュラルマイナースケールの構成音からなるコードのこと。
正しくはダイアトニックスケールの構成音からなるコード。
以下はCメジャースケール上に作られるダイアトニックコードの例。

■Cダイアトニックコード
Cメジャースケール上の4和音

代理コード(だいりコード)

コード進行で、「ベタな」進行の代わりに用いられるコードのこと。
コード進行は主要三和音のみで作ることが出来るが、それだけでは単調になってしまう。
そのため主要三和音の代わりに主要三和音以外のコードを使用することでバラエティに富む進行を作ることが出来る。
代理というからには元のコードの機能に似た機能を持つコードを使用する必要がある。
副三和音を用いることが多いが、それ以外のコードも使用される。

短音程(たんおんてい)

音程のひとつで、半音のこと。
キーボード上で黒鍵も含めてひとつ隣の音が短音程となる。
「ミ」の短音程上の音は「ファ」、「ミ」の短音程下の音は「レ#」(または「ミ♭」)となる。

短調(たんちょう)

英語でマイナースケールのこと。
マイナースケール

チャンネル

独立したデータを送ることが出来るデータ帯。
トラックと同義で使われることがある。

MIDIでは、独立したMIDIデータを送受信するための経路。
テレビのチャンネルと同じで、それぞれのチャンネル番号ごとに独立した内容の通信が出来る。
GMでは1から16までの16チャンネルを使用する。
テレビではひとつのチャンネルを選び映像を視聴するが、GMでは16チャンネル同時にデータの送受信が可能。
つまり16種類の楽器の演奏が同時に出来る。
16チャンネルというのは最低限GMとして備えていなければならない数で、音源によっては同時に32チャンネルや64チャンネル演奏可能なものもある。
MIDIケーブル1本で16チャンネルのデータの送受信しかできないので、17チャンネル目以降は2本目のMIDIケーブルを使用する。
(ケーブルの単位を「ポート」と呼ぶことが多い)
GM非対応の音源はひとつのチャンネルしか備えていないものもある。

チューナー

楽器の音の高さを合わせるための機器。
音を入力するとその高さ(ヘルツ)を表示してくれるものや、あらかじめ指定した音程を中心にどの程度の差があるかを示してくれるものなどがある。
マイクで音を拾うものや、ギターのラインを接続可能なものもある。

チューニング

それぞれの楽器の音の高さを合わせること。
またそれぞれの楽器の音の高さが合っている状態のこと。
調律。
MIDI音源を使う場合はほとんど気にする必要はないが、ギターなどの生楽器を使用する場合はチューニングが合っていないと正しく演奏しても不快な響きになる。

チューナーや音叉を使用して正しい高さにするのが理想だが、ピアノなどの調律が困難な楽器がある場合は他の楽器もそれに合わせる。

長音程(ちょうおんてい)

音程のひとつで、半音2つ分の距離のこと。
全音ともいう。
キーボード上で黒鍵も含めて2つ隣の音が長音程となる。
「ド」の長音程上の音は「レ」、「ファ」の長音程下の音は「レ#」(または「ミ♭」)となる。

長調(ちょうちょう)

英語でメジャースケールのこと。
メジャースケール

チョーキング

ギターの奏法のひとつで、弦を弾いたあとに抑えている弦を引っ張ることによって音の高さを変化させる技法。
ギター、特にエレキギターではサウンドの要といってもいいほど良く使われる。
弦を引っ張る(より強く弦を張る)ことにより音を変化させるので、通常は高いほうへと音が変化する。
MIDIではピッチベンドを使用してチョーキングを再現することが出来る。

著作権(ちょさくけん)

目に見えないけれど確かに存在する、強大な力。
アマチュアでも、楽曲を世に発表する人は注意を払わないと痛い目をみるかもしれない。

チョッパー

スラップ奏法のこと。

ツーファイブ

スケールの第五音(V)の手前のコードをIIにして、「II→V」の形にすること。
第2音→第5音の進行なのでツーファイブと呼ぶ。
ハ長調ならば「Dm→G」の進行。

ポップスなどで頻繁に用いられる進行。
強進行であるため滑らかにつながる。
そのままIに進行する形をツーファイブワンと呼ぶ。
(II→V→I)

ディグリーネーム

スケール上に作られるコードのコードネームを、基準音から順にローマ数字に置き換えたもの。
キーを変更してもディグリーネームは変わらないため、コード進行を記す際によく使われる。
Cダイアトニックコードをディグリーネームに置き換えると下図のようになる。
(下部のローマ数字の並びがディグリーネーム)

■Cダイアトニックコード
Cメジャースケール上の4和音

ディストーション

エフェクターの一種。
歪み効果を得られるエフェクトターで、特にギターによく使用される。

似たエフェクターに「オーバードライブ」がある。
両者の違いは、オーバードライブは音の過大入力により歪ませるのに対して、ディストーションは音を歪ませるための回路(クリッピング回路)を通すことにより歪みを得る。
歪ませる原理が違うのだが、音としてどっちがどっちというのは割りと難しい。
一般的に激しく歪んでいるのを「ディストーション」、それほど歪んでいないのを「オーバードライブ」と言ったりするが、必ずしも正しくない。

ディミニッシュコード

コードのひとつで、ルート音に短3度・減5度・減7度の音を重ねたコード。
Cの場合は「Cdim7」などと表記される。
7度の音を除いた3和音のコードもディミニッシュコードだが、ディミニッシュコードというときはディミニッシュセブンスコードのことを指すことが多い。

■Cディミニッシュセブンス
Cディミニッシュセブンス

ディレイ

遅延のこと。
音が遅れること、または意図的に遅らせることをいう。

エフェクターとしてのディレイはいわゆる山びこ効果で、エコーとも呼ばれる。
原音に遅らせた音を付加することで部屋やホールの鳴りをシミュレートする。
どれだけ遅らせるかはミリ秒または四分音符などの音符単位で指定する。
原音をただ遅らせるだけのものやフィルターなどで音を加工して出力するものなどがある。
リバーブと共に空間系エフェクトと呼ばれる。

デジタル

量を数値で表したもの。
現実世界に存在する音や時間や電力などは全てアナログである。
これらのアナログデータを、サンプリングにより数値化したものがデジタルデータである。

デジタルは桁が有限であるため、無限の量を持つアナログを完璧に再現することは出来ない。
そのためデジタル化する際は、実用に支障がない範囲でデータを切り捨てている。
(つまり、人にわからない範囲で劣化している)
音楽制作の際にはこの性質を利用して、わざと粗いサンプリングをして音を劣化させることにより音作りをするという手法がある。

詳しくはアナログも参照。

デシベル(dB)

音量を表すために用いられる単位。
dBと表記する。

アナログとデジタルとでは扱い方が異なる。
アナログの場合、0dBを最も小さい音(人が聞き取れる下限)とし、上限は無限なので100dBでも200dBでも理屈の上では存在する。
しかしデジタルの場合は扱える情報量に限りがあり無限では困るので、0dBを最大値とし、それ以下の音量をマイナス値で表す。
0dB以上の音量は表現できず、音割れなどのノイズになる。

デシベルは約6dBで音量が約2倍、約9dBで音量が約3倍という具合に相対的に変化する。
このへんの話は音響学には必須なのだが、DTMや作曲などにはあまり必要ない。
興味のある人は自分で調べましょう。

また同じ0dB(デジタルでの最大音量)の音でも、大きさが違って聞こえることがある。
これは音量は同じでも音圧に違いがあるので違って聞こえることになる。
詳しくは→音圧を参照。

デスクトップミュージック

パソコンで音楽を作ること。
詳しくは→DTM

デュレーション

音の長さのこと。
詳しくは→ゲートタイム

デチューン

原音に、ピッチをわずかにずらした音を重ねることで音に厚みを持たせること。
オシレーターを2基以上持つアナログシンセの場合、一方のオシレーターのピッチをわずかにずらすことで作ることが出来る。
またエフェクターのコーラスを使用することで作ることも出来る。

テラMIDI(テラミディ)

DTM用語ではないが、打ち込み技術が稚拙なMIDIのことをこう呼ぶことがある。
どちらかというと貶しているニュアンスが強い。
インターネットスラングで「とても」という意味である「テラ○○」とMIDIを組み合わせた言葉。
打ち込み技術以外に、MSGSなど音源の出音の問題でしょぼく聞こえる場合もこう表現する。
要するに「すごくMIDIっぽい(生演奏には聞こえない)」という意味。

転回形

和音の構成音はそのままで、音の重ね方を変えたもの。
ボイシングと意味は近いが、転回形は単純にコードの構成音の並び順を意味する。
ボイシングはアレンジ理論で使われる。
和音の転回

テンション

スケールの構成音からコードトーンとアボイドノートを省いた音程をテンションノートという。
基本のコードにテンションノートを加えたコードをテンションコードという。

例えばCメジャースケール上でCM7コードを演奏する場合、「ド・ミ・ソ・シ」がコードトーン。
アボイドノートは「ファ」となる。
残りの「レ」「ラ」がテンションノートで、CM7コードに重ねてテンションコードを作ることができる。

テンションコードには「b9」「9」「#9」「11」「#11」「b13」「13」の7種類がある。
例えば「13」ならコードのルート音から長13度の音程を重ねる。
この時、7thや9th、11thなどの13度以下の音程もすべて含まれる。
(アボイドノートは除く)

ドミナントコードの場合は11th以外の音程はテンションとして使用できる。

転調

曲の途中で調を変えること。
印象が変わるので、場面転換などで用いられる。

借用和音など、一時的にスケール外の音程を使用する場合は転調とはみなさない。

度(ど)

音程を数えるときの単位。
詳しくは→音程

ト音記号(トおんきごう)

ト音(G、つまりソの音)を基準にした音部記号。
G clef(ジークレフ)ともいう。
ト音記号の形はアルファベットのGを変形したもの。
しっぽの黒丸の部分が「ド」の音になるのはたまたまで、あくまでG音が基準。
書くときはG音の位置を円で囲うように書く。
高い音の楽器を記す際に用いられる。
ト音記号の音の高さは下図の通り。

■音部記号と音の高さ
音部記号と音の高さ

トニック

コードの機能のひとつ。
強い安定感、終止感を持つ。
スケールの基準音のダイアトニックコードがトニックとなる。

ドミナント

コードの機能のひとつ。
不安定感があり、リーディングノートの機能によりトニックへと進行したがる性格を持つ。
セブンスを加えた「ドミナントセブンス」にするとよりトニックへの進行感が強くなる。

ドミナントモーション

ドミナントセブンスからトニックへとコードが進行すること。
トライトーンにより強い安定感、終始感がある。

V7→Iの進行がドミナントモーションだが、I7→IVやII7→Vなどの4度上行もドミナントモーションとなる。
これをセカンダリードミナントといい、目的のコードに滑らかにつなぐことができる。

トライトーン

ふたつの音程の音度差が全音3つ分(増4度、減5度)の関係にあること。
三全音ともいう。

この音程は強い不協和音とされ、トライトーンを含むコードは強い不安定感がある。
ドミナントセブンスコードはトライトーンの働きによりトニックへと進行する。

トラック

楽曲自体をトラックと呼ぶことがあるが、MIDIやDAWではそれぞれ独立したデータを持つデータ帯のこと。
陸上競技の100メートル走で、走行ラインのことをトラックと呼ぶが、イメージとしてはそれと同じ。
トラックごとにそれぞれドラムやギターなどの楽器を録音(または打ち込み)する。
それらのトラックをトラックダウン(ミックスダウン)し、楽曲を作る。

トラックダウン

ミックスダウンと同義。
TD(ティーディー)とも言う。

トラック分け(トラックわけ)

MIDIを打ち込むときに、ひとつのチャンネル(楽器)のデータの打ち込みを複数のトラックに分けて行うこと。
トラック分けして打ち込まれたデータの送信先MIDIチャンネルは同じにするので、結果としてはひとつのトラックで打ち込むのと同じ音が鳴るが、データ編集を容易にするために使われるテクニック。
特にドラムの打ち込みで良く使われる。

ドラム

太鼓のこと。
ドラムキット

ドラムキット

ドラム類(太鼓)とシンバル類をひとりの奏者で演奏できるようにまとめたもの。
楽曲のリズムを作る。
時代やジャンルによって使用される楽器に大きく幅がある。
主なものは以下の通り。

  • バスドラム
  • スネアドラム
  • タムドラム
  • ハイハットシンバル
  • クラッシュシンバル
  • ライドシンバル

このほかにもカウベルなどの打楽器を組み合わせる場合もある。

ドラムマシン

ドラムの音色を発音する機器。
リズムマシンともいう。

一定のドラムパターンを自動演奏させることができる。
他の楽器の練習やレコーディング時に正確なリズムを取るために使用することが多いが、TR-808などの特徴的な音色を持つ製品の音は録音(サンプリング)して実際の音楽にも使用される。

トレモロ

同一の音の高さを連続で小刻みに演奏する技法。
または、音量の増幅と減衰を交互に繰り返すエフェクトもトレモロという。
2つの音の高さを交互に小刻みに演奏する技法はトリルという。

ドンカマ

メトロノーム

ドンシャリ

低音域と高音域を強調した曲のことをこう呼ぶ。
ドラムやベースなどのリズム隊がはっきりし、派手で勢いを出す事が出来る。
リズムが強調されるのでダンス系の曲などに多く見られるが、ロック全般や普通のJ-Popでもときどき見られる。

ドンシャリにすると、派手で印象に残りやすい、ノリが良くなるなどの効果が期待できるが、反面音質を犠牲にしているという意見もある。
良い音楽とは何か、という話になると一概にどちらが良いかというのは難しいが、作り手や聞き手が求めるサウンドがドンシャリであるならそれで良いのだと思う。
あまり長時間ドンシャリの曲を聞いていると耳が疲れるのは確か。
いわゆるエイベックス系サウンドに多く見られる。