ドラムキットとパーカッションについて

GM音源はデフォルトでは10チャンネルにドラムキットとパーカッション類が割り当てられています。
GMで定義されているのは一種類のみですが、多くの音源では音色の異なるドラムキットが複数収録されています。

ドラムキット

太鼓類とシンバル類を一人で演奏できるように配置したものをドラムキットといいます。
使用される楽器や配置は人によって多少変わります。
以下は一般的な構成図とよく使われる楽器類の説明です。

ドラムキット

1-バスドラム/キックドラム
大きな太鼓で、中央に置き右足でペダルを踏んで操作します。
低音の基本リズムを作ります。
ハードロック/ヘヴィメタルなどではバスドラムを2つ配置するツーバスがよく見られます。
2-スネアドラム
中~小型の太鼓で、左側(向かって右)に配置します。
バスドラムと組み合わせて基本のリズムを作ります。
他の太鼓類と違い、裏側にスナッピーと呼ばれる金属線が貼られていて、これがスネアドラム独特の音色を作ります。
345-タムドラム
大型~小型の大きさの異なる太鼓を1~4個程度横に並べたものです。
呼び方に決まりはありませんが、一般的には口径が小さい方から「ハイタム」「ミドルタム」「ロータム」「フロアタム」と呼び、左から右へと配置します。
楽曲の要所要所でリズムに変化を付けるために使用することが多いです。
6-ハイハットシンバル
小さめのシンバルで、同じ大きさのシンバルを上下逆にして重ねたものです。
スネアドラムよりも左側(向かって右)に配置します。
足で操作するペダルがあり、ペダルを踏むと上下のシンバルが閉じられます。
シンバル同士が閉じた状態をクローズ、開いた状態をオープンといい、それぞれ叩いた時の音が異なります。
本物のハイハットシンバルはクローズ時/オープン時にシンバルが振動するため、オープンとクローズを繰り返すだけで音を出すことができます。
しかしGM音源では「スティックで叩いた音」と「ペダルを踏んだ時(つまりクローズした時)の音」しか収録されていません。
「オープン時に自然に鳴る音」はオープンハイハットのベロシティを低くするなどで再現するしかありません。
7-クラッシュシンバル
ドラムキットに覆いかぶさるように1~2枚程度配置する大きめのシンバルです。
複数枚使用する場合は大きさの異なるシンバルを設置します。
(大きさが異なると音の高さが変わる)
楽曲に強力なアクセントを加えます。
多くの場合、クラッシュを鳴らすタイミングでバスドラムも同時に鳴らします。
8-ライドシンバル
フロアタム(一番右側に配置される一番大きなタム)の上にかぶさるように配置する、大きなシンバルです。
ハイハットの代わりにリズムを刻むほか、クラッシュのように強く叩くこともあります。
ライドシンバルは叩く位置によって音色が異なり、中心付近はクセのある固めの音が鳴ります。
スプラッシュシンバル
ハイハットよりもさらに小型のシンバルで、軽い音色のシンバルです。
リリース(音の減衰)が短く、クラッシュの代わりに一風変わったアクセントが欲しい場合に使われます。
チャイナシンバル
形も音色も独特なシンバル。
これまた一風変わったアクセントが欲しいときに使われます。
カウベル
一般的なカウベルの中身(クラッパー)を取り外したもの。
中身がないので振っても音は鳴らず、スティックで叩いて音を出します。
パーカッション類に分類される楽器ですが、ドラムキットに取り付けることも良くあります。

ドラム打ち込みのコツ

ドラムの演奏は「バスドラム」「スネアドラム」「ハイハット」の3つが基本のリズムを作ります。
この3つを合わせて三点セットと呼びます。
要所要所でクラッシュでアクセントを付け、タムでリズムに変化を加える、というのが基本的なパターンです。

打楽器なので、ノートの長さ(デュレーション)は音に影響しません。
発音タイミングとベロシティが最も重要な要素です。

演奏パターンも重要です。
人間には手が二本、足が二本しかありませんので、同時に鳴らす事ができるのはそれぞれ2つずつ、最高で4つまでとなります。
これを気にせず生演奏の打ち込みをすると現実にはあり得ない演奏になってしまいます。
ただし生演奏のシミュレートでないならあまり気にしなくても構いません。

音作り

通常のGM音源では、ドラムは複数の楽器の音がひとつのトラックにまとめて出力されるので、個別に音質の調節ができません。
例えばリバーブを掛ける場合も、ドラムキット全体が全て同じ掛かり具合になってしまいます。
楽器個別に音作りをしたい場合は各楽器をソロ演奏にしてそれぞれを録音(オーディオ化)してミキシングする必要があります。
ソフトシンセの場合、ソフトによっては個別の調整が可能だったり、パラアウト(楽器毎に出力トラックを分ける機能)があったりします。

■ドラムの例

バスドラムから始まり、スネア→ハイハット+カウベル→ライドシンバル→タム→クラッシュ、の順に楽器が入ります。

パーカッション

GM音源には様々な打楽器が収録されています。
すべてを網羅するのは大変なので、比較的よく使われる楽器をピックアップして説明します。

タンバリン

小型の太鼓の胴部分に小さなシンバルをたくさんつけた、カラオケとかでよく使われるアレです。
一方に皮を張ったタイプと、皮のないタイプとがあります。
GM音源には皮を叩いた音は収録されていません。

ボンゴ/コンガ/ティンバレス

キューバの太鼓で、ラテン系の音楽のリズム楽器として用いられる事が多いです。
これらは大きさの異なるものを2つ並べて配置します。

コンガはGM音源では3種類の音色(ロー、ミュートハイ、オープンハイ)しか収録されていませんが、実際にはもっと多くの奏法が存在します。

アゴゴ

金属製の打楽器で、三角錐の筒をふたつつなげたもの。
それぞれで異なる音程が出ます。
カウベルと同じくスティック等で叩いて演奏します。

マラカス/シェイカー

木の玉や筒などに砂や木の実などを入れたもので、振って音を出します。
シェイカーはGMでは定義されていませんが、多くの音源に収録されています。

これもラテン系の音楽でよく使われます。
また静かな曲でハイハットなどのリズム楽器の代わりとして(あるいは併用して)使われることもあります。

ホイッスル

サンバホイッスルと呼ばれる笛です。
メロディの演奏はできず、GM音源では長さと音程が異なる二つの音が収録されていることが多いです。

クイーカ

太鼓の振動膜の中心に棒を差し込んだ楽器。
この棒を布などで擦ることで独特な音色を発音します。
サンバ系の音楽でよく聞かれる音です。

トライアングル

金属の棒を三角形に曲げ、ひもで吊るしたものです。
学校の音楽室にひとつはあったはず。

そのまま叩く「オープン」と、トライアングル本体に手を触れ振動を阻害する「ミュート」とを組み合わせてリズムを作ります。

■パーカッションの例

ティンバレスから入り、コンガ、アゴゴ、クイーカ、マラカス、ホイッスルでリズムを作っています。
ラストはトライアングルの単音です。