ベロシティで演奏に強弱を付ける

ベロシティとは楽器を演奏する強さ、強弱を表現する際に設定するパラメータです。
本来の意味は「速さ」で、速く楽器をはじけば強く大きい音が出るというわけです。

初心者講座でも少し説明しましたが、楽器の演奏というのは強弱のつけ方がノリや人間らしさにつながります。
逆にベロシティの強弱をつけなければ無機質な機械らしさを表現することが出来ます。

■ベロシティの例

同じドラムパターンを3回繰り返しています。
1つ目はベロシティの強弱は一切つけていません。
2つ目はベロシティによる強弱ありです。
分かりづらい場合はハイハットに注意して聞いてみてください。
3つ目はベロシティの強弱を利用してスネアドラムのパターンに聞こえるか聞こえないかの小さな音を加えています。
これはゴーストノートと呼ばれる奏法を再現したもので、演奏者は無意識または意識的にこの小さな音を加えることによってグルーブ感を生み出しています。
ゴーストノートはドラムだけではなくベースやギターなどでも使用されます。

ベロシティスイッチ

一昔前のMIDI音源はベロシティを小さくすると単純に音量が小さくなるだけでした。
しかし、たとえばスネアドラムを力いっぱい叩いた音と、軽くポンと叩いた音とは音量だけではなく音そのもの(音色)が違います。
この違いを再現するために、最近の(それなりに質の良い)音源は強く叩いた音と弱く叩いた音を別々に収録していて、ベロシティでそれぞれを切り替えて発音するものがあります。
(例:vel0~60はサンプルAを再生、61~100はサンプルBを再生、101~127はサンプルCを再生)
このようにベロシティによって発音サンプルが切り替わる方式をベロシティスイッチと言います。

■ベロシティスイッチの例
ベロシティスイッチ

理論上は128個の再生サンプルを切り替える事が可能ですが、サンプルを収録出来る容量に限りがある、サンプル録音・編集の手間が膨大になる、それに見合うだけの効果がない、等の理由で数個程度のサンプル切り替えにしているMIDI音源が多いようです。

ベロシティ打ち込みのコツ

DTMで打ち込みをしている人には、楽器を弾けない人や実際の楽器を触った事もない人も多いでしょう。
そういう人はMIDIで人間らしいニュアンスを再現するのを難しいと感じる事も多いと思います。

打ち込み時に困ったら、たとえその楽器を弾けなくても自分が弾いているところをイメージする、というのはなかなか有効な手段です。
自分ならこういう音を出す、というイメージをそのままMIDIに反映させるのです。
これはベロシティ以外のパラメーターの打ち込みでも有効です。

実際の楽器に触れる機会があれば積極的に触って音を出してみるというのもいいでしょう。
壊さない程度にいろいろいじくってみましょう。

Dominoでのベロシティの打ち込み方

参考までにDominoでのベロシティの打ち込み方を説明します。
Dominoのようなピアノロール形式のソフトの多くはノート(音符)を打ち込む画面のすぐ下にベロシティやコントロールチェンジなどを打ち込む画面があります。
Dominoでは以下の手順で表示しているコントロールを切り替えて打ち込んでいきます。

■Dominoでのコントロールの打ち込み1
Dominoでのコントロールの打ち込み1

コントロール領域が表示されていない場合、「表示」メニューから「イベントグラフペイン1」→「イベントグラフペイン1」を選択します。

■Dominoでのコントロールの打ち込み2
Dominoでのコントロールの打ち込み2

ちなみにDominoの場合「イベントグラフペイン2」を使ってコントロール領域を2つ同時に表示させることも出来ます。