VCO、VCF、VCAについて

アナログシンセの最も基本的な構成である「VCO」「VCF」「VCA」ですが、これらを詳しく見ていきます。

VCO(Voltage Controlled Oscillator/ボルテージ・コントロールド・オシレーター)

MIDI信号の受信などを契機として、電流を発生させる回路です。
音の基本となる波形の形と音程がここで決定されます。

波形

シンセの機種によって搭載されている基本波形の数や種類は異なります。
代表的なものはこの4つです。
基本波形

正弦波は倍音を含まない音で、滑らかな丸い音が特徴です。
倍音がまったくないので、いくらフィルターを掛けても(倍音を削っても)変化はありません。
サイン波とも言い、英語ではSineWave(サインウェーブ)と言います。

ノコギリ波はすべての整数倍音を含む鋭い音です。
ヴァイオリンやトランペットの音色を作る時によく使われます。
鋸歯状波(きょしじょうは)とも言い、英語ではSawtoothWave(ソウトゥースウェーブ)と言います。

矩形波(くけいは)は奇数倍の倍音成分のみを含む固い音です。
そのまま出力するといかにもコンピューターらしい音がします。
クラリネットなどの木管楽器の音色を作る時によく使われます。
ちなみに矩形とは四角形のことです。
スクエア波とも言い、英語ではSquareWave(スクエアウェーブ)と言います。

三角波はサイン波に似た柔らかい音です。
奇数倍の倍音のみを含みますが、矩形波とは各次倍音の音量が異なります。
正弦波と矩形波の中間的な音です。
トライアングル波とも言い、英語ではTriangleWave(トライアングルウェーブ)と言います。

これらの基本波形に加えて、多くのアナログシンセでは「パルス波」という波形を扱う事ができます。
矩形波とパルス波

パスル波(PulseWave)の波形は矩形波に似ており、矩形波と共用となっていることが多いです。
矩形波はプラス側とマイナス側の波の幅が同じ、つまり「50%/50%」です。
対してパルス波は「40%/60%」や「25%/75%」など、自由に変化させることが出来ます。
50%/50%から離れていくにしたがってクセのある特徴的な音色になります。
この割合のことをデューティー比と言います。

パスル波を作ることが出来るシンセには「PWM」や「P/W」というツマミが付いている事が多いです。
これは「パルス・ウィズ(ウィズス/ワイズ)・モジュレーション」といい、プラス/マイナスの割合を変化させることができます。
大抵はツマミの真ん中が「50%/50%」つまり矩形波で、左右に動かす事で割合が変化しパスル波になります。
「25%/75%」の音と「75%/25%」の音は位相が異なりますが、音色的には全く同じものです。

■オシレーターの波形の例

正弦波、ノコギリ派、矩形波、三角波、25%のパルス波、の順に演奏しています。

またこれらの規則的な形をした波形とは別にノイズというものがあります。
これは不規則な波形を生成する機能で、「サー」といった音が発生します。
ノイズはノイズジェネレータとして独立しているものと、VCOの波形のひとつとして搭載されているものがあります。
Synth1ではVCO2の波形選択にノイズがあります。

音程

VCOは基本的に送られてきたMIDI信号に対応した音程の音を発音しますが、これを変化させることが可能です。
半音単位で変化させたり、半音以下の微妙な音程調整をすることもできます。
VCOを2つ以上搭載したシンセでは、一方のVCOの音程を微妙にズラすことで音に厚みを出すこともできます。

半音単位の上下は「Coarse」「Pitch」「Transpose」「SemiTone」など、半音以下の微調整は「Fine」「Detune」「Cent」などの名称になっています。
機種によってはオクターブ単位で上下する「Octave」というツマミがあるものもあります。

VCF(Voltage Controlled Filter/ボルテージ・コントロールド・フィルター)

VCOで作られた音に対してフィルターを掛ける回路です。
フィルターとは例えば低音を削ったり高音を強調したりといった風に、音の周波数特性を変化させるものです。
イコライザーと同じと考えても構いません。

イコライザーは基本的に「音質調整」のものですが、アナログシンセのフィルターは倍音を削り積極的に「音作り」をするためのものです。
減算合成方式の「減算」のための機能です。

カットオフ周波数

フィルターを掛ける周波数を指定します。
カットオフ・フリークェンシーとも言います。
「Cutoff」「Frequency(FRQ)」などの名称が多いです。

レゾナンス

カットオフ周波数付近の音を強調します。
「Resonance(Res)」「Emphasis」などの名称が多いです。

レゾナンス

図のように、カットオフ周波数で指定した周波数付近の音が強調されます。
強調すればするほど独特のクセのある音色に変化します。
後に説明するLFOやEGなどでカットオフ周波数を動かすことで「ミョーン」「ミャウ」というシンセ特有の音色を作ることができます。

■フィルターの例

ノコギリ波の無加工、カットオフ、カットオフ+レゾナンス、カットオフ+レゾナンス+VCF
の順です。

フィルタータイプ

フィルターにはいくつかの種類があり、それぞれで出力される音は異なります。
機種によって搭載されているフィルタータイプは異なります。

フィルタータイプ

  • ローパスフィルター(Low Pass Filter)
    カットオフ周波数よりも高い音をカットするフィルター。
    ロー(低い)をパスする(通す)という意味。
    LPF。
  • ハイパスフィルター(High Pass Filter)
    カットオフ周波数よりも低い音をカットするフィルター。
    ローパスフィルターの反対で、ハイをパスするという意味。
    HPF。
  • バンドパスフィルター(Band Pass Filter)
    カットオフ周波数付近以外の音をカットするフィルター。
    ローパスとハイパスを同時に掛ける形になる。
    BPF。
  • ノッチフィルター(Notch Filter)
    カットオフ周波数付近の音をカットするフィルター。
    バンドパスフィルターの反対の効果。
    Notch。

Pole/dB

各フィルターの効き具合を調整するものです。
1Pole=6dB、2Pole=12dB、4Pole=24dB。

フィルターの効き具合

1Poleの場合、指定したカットオフ周波数から1オクターブ分音程が離れると音量が6dB下がる、つまり半分になります。
2Poleなら12dB下がるので1/4になります。
1オクターブ分とは高い方へは倍の周波数、低い方へは半分の周波数です。

つまり数値が大きいほどフィルターの効きが良くなり、音が大きく減衰するということになります。

VCA(Voltage Controlled Amplifier/ボルテージ・コントロールド・アンプリファイアー)

最終的に発音される音を決定するための回路です。
シンセ上にあるツマミは単純に音量を上下させるためだけのものですが、内部的にLFOやエンベロープジェネレータをVCAに掛けることで音量を時間的に変化させ、様々な効果を出します。

LFO、エンベロープジェネレーターについては次ページで説明します。

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