Dominoの使い方・ドラムを打ち込んでみる

前ページからの続きです。
前回でかえるのうたのメロディの打ち込みが完成しました。

メロディだけだと味気ないので、ドラムを入力してみましょう。

GM音源の決まりで、ドラムトラックはチャンネルの10を使います。
10チャンネルはドラム専用の特殊なトラックで、他のチャンネルとは入力方法が若干異なります。
かえるのうた ドラム

上図の打ち込み部分を拡大したものです。
かえるのうた ドラム(拡大画像)

画像を見てもらえればわかると思いますが、トラックセレクトペインで10チャンネルを選択すると、ピアノロール上に今まで表示されていたピアノの鍵盤がなくなり、代わりになにやら文字がたくさん表示されるようになります。

ドラムは打楽器なので、ドレミといった音階はありません。
その代わりバスドラムやスネアドラム、クラッシュシンバルなどといったたくさんの種類の楽器があります。
それらの楽器を鍵盤上の音程の高さに割り当てているのです。
(ドはバスドラム、レはスネアドラム…といった具合です)
これを「ドラムマップ」などといいます。

また打楽器なので音符の長さは関係ありません。
そのため音符(ノート)はほかのチャンネルのように横棒ではなく丸で表わされ、「Gate」の設定は入力できないようになっています。

そのほかは前回メロディを入力したときと変わりはありません。
前回と同じように2小節目から入力を開始しましょう。
ドラムパターンは図の通りでもいいですし、自分なりに変えてみてもかまいません。
これを8小節分繰り返します。
かえるのうた キック、スネア

上図のように打ち込むと、メロディに合わせてバスドラムとスネアドラムが「ドン、タン、ドド、タン」と演奏されます。

新規トラックでハイハットの追加

これだけではリズムが貧弱なのでハイハットを追加してみましょう。
バスドラムとスネアドラムのトラックに追加してもいいですが、編集しやすくするためにトラックを分けましょう。

トラックセレクトペインの10チャンネル上を右クリックし、「トラックの追加」を選択します。
かえるのうた トラックの追加

すると10チャンネルの下に新しくトラックが追加されます。
今度はその新しく作られたトラック上で右クリックし、「トラックのプロパティ」を選択します。
かえるのうた トラックのプロパティを選択

するとこんなウィンドウが表示されます。
ここでトラックの設定を行います。
かえるのうた トラックのプロパティ

トラック名を「HiHat」に、ポートを「Microsoft GS Wavetable Synth」に設定します。
さらにチャンネルを「10に」変更し、種類を「リズム」に設定します。
かえるのうた トラックのプロパティ2

「トラック名」は自分でわかりやすい名前を設定出来ます。
「ポート」というのはMIDIポート、つまりMIDIの出力先のことで、現在使用しているMIDI音源であるMSGSに設定します。
「チャンネル」はドラムセットの「10チャンネル」に設定します。
「種類」というのは通常のピアノロールで表示するか、ドラムキットの名前を表示するかの設定です。
10チャンネルはドラムキットなので「リズム」を設定します。

これで新たに「10チャンネルに出力先を持つMIDIトラック」が追加されました。
チャンネル10へ出力先するトラックは最初からある「CH10」トラックと、先ほど追加した「HiHat」トラックの二つあることになります。
かえるのうた 新規トラックの追加完了

このように出力先は同じでもトラックを分ける手法は、ドラムキットなど複数の楽器を持つ楽器やピアノの右手と左手など、独立させたほうが編集しやすい場合によく用いられます。
(「トラック分け」といいます)

「MIDIトラック」と「MIDIチャンネル」は似た言葉ですが意味が異なるので注意してください。
MIDIチャンネルの数は16チャンネルで固定です。
MIDIトラックはユーザーが好きなだけ増やすことができますが、送信先となるMIDIチャンネルは1~16の中のどれかを指定することになります。

さてハイハットを打ち込んでいきます。
ハイハットは八分音符で刻んでいきます。
ハイハットには3つの演奏法がありますが、ここでは「Closed Hi-Hat」(クローズハイハット)をメインとして打ち込みます。

八分音符ごとに「Closed Hi-Hat」と書かれた列に音符を置いていけばいいわけですが、そのままでは全て同じ強さで叩くことになります。
これでは少し機械的過ぎるので、少しだけ演奏に抑揚をつけたいと思います。

ドラムなどの楽器を叩く強さ、鍵盤を弾く強さのことをMIDIではベロシティといいます。
ベロシティの数値が大きければ大きな音で、ベロシティが小さければ小さな音で鳴ります。

ハイハットの場合は強めのベロシティと弱めのベロシティを交互に鳴らすことで、より人間らしい演奏を表現します。
ベロシティの設定はピアノロールの下の「イベントグラフ」で行います。

縦のバーが高いほどベロシティが強く、バーが低いほどベロシティが弱くなります。
鉛筆ツールで高めのバーと真ん中くらいのバーを交互に書いていきます。
かえるのうた ベロシティの設定

バスドラム、スネアドラム、ハイハットの3つの楽器の入力が出来ました。
これだけでもOKですが、少し変化をつけてみたいと思います。
アクセントはタムドラムとクラッシュシンバルでつけてみます。

最終的にこんな感じで打ち込んでみました。
(見やすいように全部一つのトラックにまとめています)
かえるのうた タム、クラッシュを追加

バスドラム、スネアドラムのパターンに八分音符でハイハットを刻み、要所でクラッシュを、最後はタムでアクセントを付けています。
ドラムの演奏上、クラッシュやタムを叩いている時はハイハットは同時に叩けないので、そのタイミングのハイハットは削除しています。

ドラムを追加したMIDIファイルはこちらです。

かえるのうた-ドラム

ここまでの説明でよくわからない箇所があったら、このMIDIファイルをDominoで開いていろいろいじくってみてください。
1チャンネルがメロディ、10チャンネルがドラムです。
さらにドラムトラックは2つにトラック分けしています。