転回とは
例えばCメジャーコードの構成音は「ド・ミ・ソ」です。
この音の並びはルート音から順に音を重ねていて、コードの基本形と呼ばれるものです。
では順番を変えて「ソ・ド・ミ」などにした場合、これもCメジャーコードなのでしょうか?
はい、これもCメジャーコードです。
こういった「構成音は同じで順番が違う」ものをコードの転回形(転回型)といいます。
音程の転回
まずは2つの音程の場合の転回を見ていきましょう。
■図1 音程の転回
※上図の「aug6」の音程がズレていたのを修正しました。
ご指摘ありがとうございます。
これは低いほうの音符を1オクターブ上に変更(転回)したものです。
一見して面倒な気がしますね。
一つ一つ確かめると、確かにこの通りになっているはずです。
キーボードと音程表を載せておきます。
このように転回した場合の音程をすぐに導き出せる方法があります。
転回前の度数 | → | 転回後の度数 | 備考 |
---|---|---|---|
1度 | → | 8度 | 転回前の度数と、転回後の度数を足すと9になる。 |
2度 | 7度 | ||
3度 | 6度 | ||
4度 | 5度 | ||
5度 | 4度 | ||
6度 | 3度 | ||
7度 | 2度 | ||
8度 | 1度 |
転回前と転回後の度数を合計すると9になります。
転回前の度数が3なら展開後の度数は6になります。
次に音程名はこうなります。
転回前の音程名 | → | 転回後の音程名 | 備考 |
---|---|---|---|
完全音程 | → | 完全音程 |
完全音程は変わらずそのまま。 長は短に、短は長に反転する。 増は減に、減は増に反転する。 |
長音程 | 短音程 | ||
短音程 | 長音程 | ||
増音程 | 減音程 | ||
減音程 | 増音程 |
説明の通りです。
この2つの表を組み合わせると、図1のように転回しても元の音程差がわかっていればすぐに転回後の音程差が導き出せます。
和音の転回形
■図2 和音の転回
図はCmaj7の転回形です。
基本形を元に、最低音(ルート音)を1オクターブ上にしたものを「第1転回形」、さらに最低音を1オクターブ上にしたものを「第2転回形」、さらに最低音を1オクターブ上にしたものを「第3転回形」といいます。
これらの転回は演奏や音の響きの都合で使用されます。
注意してほしいのは、転回したからといってルート音は変わらないということです。
コードは常に「Cmaj7」で、ルート音は「C」です。
また転回形であることを示すためにコードネームを「Cmaj7 onE」とオンベース表記にしたり、「Cmaj7/E」と分数コードで表記することがあります。
どちらもCmaj7コードですが、最低音をEにするという指定です。
ただしこれらの表記法は転回形を示す以外にも使用されます。
キーの変更まとめ
- コードの構成音が同じで並び順が違うものをコードの転回形という
- 転回により演奏がしやすくなったり、曲に合わせた音の響きになる