シンセサイザーを使えるようになろう

シンセサイザーとは電気信号によって音色を合成する機械のことです。
言葉の意味としては電気は使わない音色合成、例えばオルガンの音色調整などもシンセシスになります。

ここでは最も基本となる減算方式のアナログシンセサイザーの使い方を説明します。

シンセの合成方式について

シンセと一口にいってもその音作りの方式としてはいくつかの種類が存在します。
ここでは減算方式以外は扱いませんが、紹介しておきます。

複数の合成方式を組み合わせた方式のシンセもありますし、ここで紹介する以外の方式もあります。

減算合成方式

倍音を含む基本波形をフィルターで加工し倍音成分を削る、つまり「減算」することで音を作る方式です。

最も基本的な方式で、ほかのシンセを理解するためにはまず減算方式のアナログシンセを理解するほうが近道です。
詳細は次ページから解説します。

加算合成方式

減算方式が倍音を含む波形から倍音成分を削る事で音を作るのに対して、こちらは正弦波(サイン波)という、倍音成分をまったく含まない波形をいくつも組み合わせることで音を作る方式です。
波長の異なる波形をプラスしていくので「加算」方式と呼ばれます。

音作りの方式としては最も古く、パイプオルガンも加算方式による音作りの方式になっています。

加算方式は理論的にはどのような音色でも再現することが出来ます。
しかしそのためには、目的とする音色の倍音成分を正確に知っておく必要があり、例え正確なデータがあったっとしても加算方式でそれを再現するのは非常に手間がかかります。

いまではオルガンシンセの合成方式として用いられるほか、発音方式を複数持つハイブリット音源の音作りの方式のひとつとして採用されていたりします。

変調合成方式

FM方式やPD方式などの合成方式を指します。
メモリ内に記録されている波形の読み出し方を様々に変化させることで倍音成分を作り出し、音色を作る方式です。

加算方式や減算方式にない特徴として、金属的な音色の合成が得意という点が挙げられます。
変調の仕方次第で加算減算方式では難しい複雑な波形の出力も可能な半面、どのような音になるのかを予想することが非常に難しい方式です。
イメージ通りの音を作るためにはかなりの熟練の技術を要します。

FM音源は非常に軽くいろんな音色を作ることが出来るので、一昔前の携帯電話などによく使われていました。

PCM方式

これは音声合成方式ではありませんが、生楽器の再現において主流となっている方式です。

PCMとは簡単に言えば実際の楽器の音色を録音したもので、サンプリングともいいます。
本物の楽器の音を録音してそのまま再生すれば非常にリアルな音色が得られるという理屈です。

ただし、ひとつの楽器を再現するだけでもたくさんの音程の音を録音したデータが必要になります。
楽器の数が増えるほどデータ量は増えますから、大容量のメモリが必要になります。
そのため、楽器の音の一部分をループ再生して音を長く延ばしたり、ピッチを変化させることで複数の音程を作り出すなどの方法で対応しています。
現在の大容量ソフトシンセと呼ばれるものはメモリではなくハードディスクにデータを格納しておき、必要に応じてリアルタイムに読みだすという方式(ハードディスクストリーミング)が使われています
これらにはループ処理等のメモリ節約処理を使わずに、非常にリアルな音を再現しているものもあります。

今のところ生楽器の再現という点ではこれを越える方式はありません。
(物理モデリング方式などの優れた技術はあります)

PCM波形をVCOのように扱い、アナログ回路で加工するという方式のシンセもあります。

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