コード楽器の追加

「ギター 打ち込み」でこのページへたどりついた人へ

このページはギターの打ち込みテクは特に紹介していません。
MIDIでの打ち込み方を知りたい人は中級者講座のGM音源/ギター類へどうぞ。

前ページまでで音楽の三大要素である「リズム」と「ハーモニー」は出来上がりました。
これにメロディを乗せれば最低限必要な要素は全て揃います。

しかし「最低限」だけでは物足りなく、バリエーションも限られてきます。
骨太でシンプルなロックでもない限り、通常はさらに楽器を追加していきます。

サンプル曲ではコード楽器としてさらにギターを使用しています。
ピアノをパンで左に、ギターを右に配置することによって音に広がりを持たせています。
さらに左右に配置することで、お互いに音が干渉することを防ぐ効果もあります。

ギターの種類

ギターはピアノと並びよく使われるコード楽器のひとつです。
ギターは大別して、アコースティックギターエレキギターに分けられます。
アコースティックギター(アコギ)は音を出すのに電気を必要としません。
エレキギター(エレキ)は電気が必要となります。
エレキもアコギも弦の本数は6弦が標準です。
(ベースは4弦が標準)

さらにエレキギターはクリーン系と歪(ひず)み系に分けられます。
クリーン系(クリーントーン)はあまり過激な音色変化をするようなエフェクターは使用せず、ギターの素の音を生かした音色です。
歪み系とは、過度に音量を増幅することによって音を歪ませて作る音色のことです。
ディストーションとかオーバードライブと呼ばれる音色です。
(歪みとは音割れのことです)

実はギターの打ち込みというのはDTMの中でも最も再現が難しい&面倒くさい部類になります。
というのも、ギターの演奏というのはギタリストが特に意識せずに演奏したものでも、MIDIデータにしてみるととても細かい音色変化の連続だったりします。
また、とても奏法が多いのに通常のMIDI音源にはごく基本的な奏法しか収録されておらず、特殊な奏法はそれが収録されているMIDI音源でないとまず再現できません。

これらのことは特にエレキの歪み系で顕著です。
歪みギターというのは多くの楽曲に使用されているため聞き手も耳が肥えていて、相当上手く打ち込まないとショボイ音だと思われてしまいます。
アコギの打ち込みはまだ何とかなるほうです。

最近のソフトシンセなどは歪み系でもかなり本物に近い音を出せるようになってきましたが、MSGSレベルでは本当にどうしようもありません。

そのためサンプル曲では再現のしやすいアコギを使用しています。
(正確にはナイロンギター)

アコギの奏法

アコギの基本的な奏法はコードストロークアルペジオです。
コードストロークとは、現在のコードの音を腕を上下に振りながら(ストローク)ジャカジャカと弾く、誰しも一度は目にしたことがあるであろう基本的な奏法です。

アルペジオは分散和音とも呼ばれます。
コードストロークがコードの音を全部同時に弾くのに対し、アルペジオはリズムに合わせて一つずつ分散して弾いていきます。

文字での説明より実際に聞いてみたほうがわかりやすいと思います。
以下のサンプルでは前半がコードストローク、後半がアルペジオです。

■アコギの例

MIDIファイルでは、ストロークのタイミングをよく見て下さい。
ストローク奏法はギターの構造上、それぞれの弦を同じタイミングで鳴らすことは出来ません。
6弦あるうちの最初の弦が鳴ってから最後の弦が鳴るまでのタイミングにズレが生じます。
タイミングがズレるといってもその間隔はごくわずかですから、人の耳には一つのまとまった音として聞こえます。
しかし、そのわずかなズレがギターがギターらしく聞こえる重要なポイントとなります。

弦を上から下へ弾く時(ダウンストローク)は低音から順に少しずつ遅らせ、下から上へ弾くとき(アップストローク)は高音から順に少しずつ遅らせます。
どれだけズラすかはフレーズや曲のテンポによって変わります。
(この発音タイミングをズラすのがギターの打ち込みが面倒くさい一因です)

アコギサンプル MIDI

サンプル曲(Midnight Blue)ではピアノが主にコード感を出していますので、アコギはアルペジオを基本として演奏し、メロディックな雰囲気を演出しています。

ギターまとめ

  • ギターはピアノに並び最もポピュラーなコード楽器
  • 大別してアコースティックギターとエレキギターの2種類がある
  • ギター、特に歪み系ギターの打ち込みはDTMで最難関とされる
  • ストローク奏法とアルペジオ奏法がギターの基本
  • ストローク奏法では、発音タイミングをわずかにズラすことでギターらしさが出る