MIDIと音源の関係

DTMをする上でMIDIという言葉が頻繁に出てきます。
前ページでDTMソフトから音源に対して演奏の指示が出される、という説明をしました。
この「指示」の正体がMIDIというわけです。

簡単に言うとこれだけです。
何も難しいことはありません。

あまりに簡単に書きすぎだといわれそうなのでもう少し補足します。

「指示」といっても「ドの音を出せ」とかだけではありません。
「一小節目の一拍目は四分音符でレの音、二拍目は八分音符でミの音」といった音を出すタイミングや音の長さ、「ここのフレーズはオルガンで」といった音色の指定、さらにピアノ、ギターなどの各パートの音量や左右の定位…など、MIDIには様々な情報が含まれます。

前ページでは打ち込みとは音源が解釈できる形の「楽譜を作る」事だと説明しましたが、その「音源が解釈できる形」がMIDIという規格なのです。
そうして作られた「楽譜」が「MIDIファイル」「MIDIデータ」になります。
エクセルの規格に則って作られたファイルが「エクセルファイル」になるのと同じです。

そうです、MIDIって「規格」の名前なんです。
MIDI音源は名前の通りMIDI規格に則って作られていて、メーカーが違っても同じMIDI信号で制御できます。
エクセル互換ソフトでエクセルファイルを開くことが出来るのと同じです。
MIDI規格がなければ、メーカーごとに独自の仕様を作ることになってしまい、例えばヤマハの音源では「真ん中のドの音」の指示なのにコルグの音源では同じ指示が「音量を下げろ」という全く違う指示になってしまうかもしれません。
(そもそも通信すら不可能かもしれません)

そういった問題を避けるためにMIDIという規格があります。
MIDI規格に則った音源同士なら、細かいニュアンスの違いはあってもドの音はドで鳴ります。
つまりMIDI音源とは「MIDIという規格に則った、MIDI信号で制御できる音源」ということになります。
そこからさらに発展した「GM」や「GM2」などの規格もありますが、それはまた別の機会に説明します。

DTM音源はMIDI規格に則って作られているので、MIDI音源と呼んでも良いわけです。
DTM音源と呼ぶ場合はいろんな楽器の種類が収録されていて、コンパクトで、これ一台で音楽制作が完結できるようなものを指すことが多いです。
(細かい定義はたぶんありません)

MIDI対応機器同士はMIDIケーブルを使って信号をやり取りします。
ソフト音源を使う場合は、全てパソコンの内部で完結するのでMIDIケーブルは必要ありません。
(MIDIキーボードをパソコンに接続するためにMIDIケーブルが必要になる場合があります)

  • MIDIとは、音源に対する指示の正体
  • 異なる機器同士に互換性を持たせるための共通の規格の名前
  • MIDI音源は、DTMソフトやMIDIキーボードから送られてくるMIDI信号の通りに音を出す
  • MIDI規格に則って作られた「楽譜」は「MIDIファイル」となる
  • さらに細かい決まりのある「GM」、さらに発展した「GM2」などの規格もある

MIDIの基本的な接続例を図にするとこんな感じです。

・MIDI接続例 ハード音源
MIDIの接続例 ハードウェア

・MIDI接続例 ソフト音源
MIDIの接続例 ソフトウェア

ソフト音源の場合は外付けのハード音源がなくなり、パソコン内部で再現されます。
もちろん両方を併用することも出来ます。
よくある勘違いとして、MIDIキーボードだけでは音は鳴りません。
(音源搭載のMIDIキーボードはそれ単体で音が出せます)

図中で赤線で表されているMIDI信号は、スピーカーにつないでもノイズしか出ません。
(実際にはケーブルジャックの形状が違うので接続すら出来ません)
音源を搭載したMIDIキーボードの場合はMIDIとオーディオの両方の出力端子があります。