テンポとリズム(& for MIDI)

テンポの表記の仕方と意味

次は曲のテンポの指定の仕方です。
テンポとは曲を演奏する早さのことで、楽譜では以下のように記述し指定します。

テンポの表記

これは「一分間に四分音符が120回演奏される」速さという意味になります。
一分は60秒ですから、つまり一秒間に四分音符が2回カウントされる速さです。

これをMIDI的な書き方で(というか英語で)表すと「BPM120」となります。
BPMとは「Beat Per Minute(ビート パー ミニット)」の略で、直訳では「一分の間に打つ数」です。
つまり「一分間に四分音符が何回鳴らされるか」という意味になります。

MIDIではコントロールチェンジやプログラムチェンジなどでは操作できず、独立した特別な設定になります。
たとえばDominoでは「Conductorトラック」で設定します。

リタルダンド

テンポの指定に関するものにリタルダンドというものがあります。
音楽の授業で習った記憶がある人もいるかと思います。

これは「だんだん遅く」という意味で、指定の場所から少しずつテンポを遅くしながら演奏します。
五線譜の上に「rit.」と記述し指定します。

主に曲の終わりや雰囲気が変化する場所で用いられます。

反対語はアッチェレランドで、「だんだん速く」という意味にります。
リタルダンドほど多くは用いられません。
アッチェレランドは「accel.」と記述します。

これらの速度変化の指定はア・テンポの指定で元の速さに戻されます。
記述は「a tempo」です。

MIDIでの打ち込みでもリタルダンド等はもちろん再現できます。
テンポトラックなどの専用のトラックで次第にテンポを落としていく(速くしていく)指定をするだけです。

リズムの意味

ときどきテンポとリズムがごっちゃになって説明されることがありますが、テンポとはあくまでも曲を演奏する速さを表します。
リズムとは、8ビートや16ビート、ルンバやタンゴなど、音が一定の形で繰り返されるときのその形を指します。
音を打ち鳴らすタイミングやその強弱などが一定のパターンで繰り返されるとそれがリズムになります。

細かいことを言えばあるパターンの繰り返しはリズムパターンと呼び、繰り返しがなくても音が鳴るタイミングのことを指して単純にリズムといいます。

リズムというとドラムなどの打楽器にしか存在しないという人がたまにいますが、リズムは全ての楽器に存在します。
打楽器以外になると、音を鳴らすタイミングだけでなく、音を切るタイミングもリズムに関係してきます。
あまりダラダラと音を伸ばしっぱなしにしてはリズム感が損なわれます。

一般的な楽譜では、音符と音符の間のスキマの指定は通常はされていません。
(休符で明確に切っている場合や、スタッカートなどで音符の長さの指定がされることはあります)
音符と音符の間にスキマがなくても、実際に演奏する場合は演奏者が(意識的に、または無意識に)最適な長さになるように音符の長さを調節しています。
これは発音タイミングに関しても同じことが言えます。

DTMでは音符をピアノロールで打ち込みますが、発音タイミングや音の長さは(機械的な)ジャストタイミングに合わせることが出来てしまいます。
そのままで曲のリズムに合えばそれでいいのですが、曲によっては機械的な印象を持たれたり、ノリが感じられない演奏になってしまうかもしれません。
その場合はタイミングや長さを細かく調整することによって「人間らしさ」をMIDIデータで再現する必要があります。