ポルタメントで滑らかに音をつなぐ
ポルタメントとはある音程から別の音程へと音を滑らかにつなぐことを言います。
音程を変化させるのはピッチベンドと同じですが、ピッチベンドは変化するカーブを自分で描きコントロールするのに対し、ポルタメントは音符を並べるだけで音符同士が自動でつながり、滑らかにピッチが変化します。
■ピッチベンドとポルタメントの違い
ピッチベンドは音程変化するタイミングは自由に設定できます。
ポルタメントは次のノートオンを受信してから音程変化が開始されます。
ポルタメントは生楽器とシンセ(アナログシンセ)ではやや扱いが異なります。
元々はバイオリンや声楽などで用いられる奏法で、大げさに掛けたりあまり多用することは下品とされます。
シンセの音色の場合は全体にポルタメントを掛けることでシンセらしい音色変化作ることが出来ます。
どちらかというとMIDIメッセージのポルタメントは生楽器ではなくてシンセサイザー用に使うことが多く、生楽器のポルタメント奏法はピッチベンドで再現するほうがイメージ通りに作りやすいと思います。
生楽器の例とシンセの例と2つ用意しました。
バイオリンの方は2箇所でポルタメントを掛けています。
例によって大げさに掛けていますので、実際ここまであからさまなポルタメント奏法はしません。
シンセの方はメインメロディに常にポルタメントが掛かった状態です。
音程が大きく上下する箇所などが分かりやすいと思います。
メッセージ | 設定値 | 説明 |
---|---|---|
CC65 | 0~63、64~127 | ポルタメント オン/オフ 0~63でオフ、64~127でオン |
CC5 | 0~127 | ポルタメント・タイム ポルタメント時のピッチ変化速度 0で最速、127で最遅 |
CC84 | 0~127 | ポルタメント・コントロール 音程変化を開始するソース・ノートを指定 |
CC65はチャンネルのポルタメントをオン/オフを設定します。
オンにするとそれ以降全ての音にポルタメントが掛かるようになります。
数値は通常は0または127のどちらかで指定します。
ポルタメントタイムは音程変化する時間を指定します。
数値が小さいほど次の音程へ素早く変化し、数値が大きいほどゆっくりと変化していきます。
ポルタメントコントロールはちょっとややこしいですが、音程変化を開始する音程を指定します。
たとえば通常、「ド」と「レ」をポルタメントさせた時は「ド」から「レ」へと音程がなめらかに変化します。
(当たり前ですが)
この時「ド」の音は発音させたくないけれど、音程は「ド」から変化させたいときにポルタメントコントロールを使用します。
つまり「ド」のノートメッセージの代わりいポルタメントコントロールを使用すれば、直前に演奏された音程が「ド」に設定されます。
(つまり「ド」を鳴らしたのと同じ意味になる)
音程の指定の仕方は「60」が真ん中のドになります。
61が半音上の「ド#」、62が「レ」になります。
以下のWikipediaのページが分かりやすいと思います。
ノートナンバー - Wikipedia
ポリモードとモノモード
さてポルタメントに関連して、もう一つコントロールを紹介します。
メッセージ | 設定値 | 説明 |
---|---|---|
CC126 | 0 | ポリモード オン |
CC127 | 0 | モノモード オン |
MIDIにはポリモードとモノモードという2つの発音方法があります。
ポリモードは同時に複数の音を出せる方式で、ほとんどの音源の初期値はこれになっています。
(Polyphonic=多声・多音)
ピアノやギターなど同時に複数の音が出せる楽器に使用されます。
モノモードは同時にひとつの音しか発音できない方式です。
(Monophonic=単音・モノラル)
トランペットやフルートのような管楽器、人の声など同時にひとつの音しか出せない楽器に使用されます。
ポルタメントを掛ける場合はモノモードを使用したほうが綺麗に掛かります。
ポルタメントを使用しない場合でも、構造的に単音しか出ないような楽器を使用する場合はモノモードにしておいたほうがそれらしい演奏になります。
ただし単音しか出ないということはハーモニー(和音)を使用することが出来なくなるので、状況によって使い分けましょう。