DTM関連用語集 ま行

マイク

生音を録音するための入力装置。
マイクロフォン。

大きく分けて、電源不要の「ダイナミックマイク」と、電源が必要な「コンデンサーマイク」がある。
コンデンサーマイクの方が高価で繊細な音が録れる傾向があるが、ダイナミックマイクよりも衝撃等に弱く、壊れやすい。
感度が良すぎるため、基本的には手に持って収録することはせずにマイクスタンドを使用し、歌を収録する場合はポップガード(ウィンドスクリーン)という物を使用する。
また、ファンタム電源という電源が必要になる。
(電池内蔵の製品もあるにはある)

収録する楽器や状況によってはダイナミックマイクの方が合っている場合も多い。
ライブのボーカルマイクはダイナミックマイクがよく使用される。

ダイナミックマイクは(端子の形状さえ合えば)大抵のミキサーやオーディオインターフェイスに接続できるが、コンデンサーマイクはファンタム電源という電源の出力に対応した機器に接続する必要がある。
また、ケーブルはXLRケーブルという業務用のケーブルを用いる。

ミキサー等へのマイクの接続は、

  • ミキサー側でマイクのチャンネルをオフにする。
    (ミュート、フェーダー、ゲインを下げる、等)
  • コンデンサーマイクの場合、ファンタム電源はオフにする
  • 接続する
  • コンデンサーマイクの場合、ファンタム電源をオンにする
  • ミュートを解除

という手順を踏む。
反対にマイクを抜く場合は

  • ミキサー側でマイクのチャンネルをオフにする。
    (ミュート、フェーダー、ゲインを下げる、等)
  • コンデンサーマイクの場合、ファンタム電源はオフにして少し待つ。
    (マイクに電流が残っていることがあるため)
  • ケーブルを抜く
  • ミュートを解除

という手順を踏む。

マイナー

マイナーコードとマイナースケールの2つの意味があり、ここではマイナーコードについて説明する。
マイナースケール

マイナーコードはコードの種類のひとつで、「ルート・短3度、完全5度」の構成音から成る。
短三和音ともいう。
最も基本的で、メジャーコードと共に重要なコード。
コードネームの後に付けて「Cマイナー」などといい、「Cm」のように小文字で表記する。
名前がマイナーとなっているが、別にマイナースケールの曲でしか使用してはいけないわけではない。

■Dマイナーコードの構成音
Dマイナーコードの構成音

マイナースケール

ある基準となる音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」の順に音を並べることにより出来るスケール。
メジャースケールに比べて暗い響き、クールな響きという印象がある。

マイナースケールには3種類あり、上記の構成音からなるマイナースケールを「ナチュラルマイナースケール」という。

■Aナチュラルマイナースケールの構成音
Aナチュラルマイナースケールの構成音

ナチュラルマイナスケールの7番目と8番目の音程の差は全音になっている。
これではリーディングノートが作られず、メロディの終止感が不完全となってしまう。
これを解決するために、ナチュラルマイナースケールの7番目の音を半音上げた「メロディックマイナースケール」がある。

■Aメロディックマイナースケールの構成音
Aメロディックマイナースケールの構成音

メロディックマイナースケールでは、6番目と7番目の音程の差が増2度と広く開いてしまい、メロディが不自然、歌いづらいなどの欠点がある。
これを解決するためにメロディックマイナースケールの6番目の音を半音上げた「ハーモニックマイナースケール」がある。

■Aハーモニックマイナースケールの構成音
Aハーモニックマイナースケールの構成音

マイナースケールは、ナチュラルマイナースケールを基本とし、残り2つのマイナースケールを部分的に使用するというパターンが多い。
(ナチュラルマイナースケールだけで作られている曲も多い。)

マスタートラック

ミキサー卓で、すべての音の最終出力音を調整するトラックのこと。
このトラックにエフェクターを使用すると、全ての音にエフェクトを掛けることが出来る。
リミッターやマルチバンドコンプレッサー(イコライザーのようにいくつかの周波数ごとに分けてコンプレッサーを掛けることが出来るもの)、イコライザーなどを掛けることが多い。

マスタリング

ミックスダウン後に出力された2ミックスを、最終的な完成品にするために音質などを調整する作業。
また、楽曲と楽曲との間の無音時間の秒数調整作業も含む。

たとえばCDとして収録する場合、曲によって音量や音質がバラバラでは聞き辛くなるため、それぞれの楽曲を調整してCD全体を通して同じ音量、同じ音質にして聞きやすくする。
マスタリングの出来によってはぜんぜん違った印象になったりする。

レコーディングはレコーディングスタジオで行うが、マスタリングは専用のマスタリングスタジオで行う。
(同じレコーディングスタジオでマスタリングまでしてしまうこともある)
マスタリングの機材は専用のもので、プロ用のレコーディング機材も大概高いがそれに輪をかけて高いらしい。

本来はこのようなバランス調整がマスタリングなのだが、このところは調整というよりマスタリングでさらに音作りを行うことが多い。
特に音圧をあげることに重きを置き、ミックス時にもマスタリングで音圧をあげること前提でミックスすることも多い。

「音圧はマスタリングで上げるから」などと考えてミックスすると、音圧は上げることが出来てもミックス時とはまったく違ったバランスになってしまったり、そもそも音圧がまともに上がらないといったことになったりする。
そもそもマスタリング時には2ミックスしか音源がないので、2ミックスをいじくって出来ることといっても限界がある。

ミックスの段階で各トラックをイコライザーやコンプレッサーなどできちんと調整し、2ミックスの状態である程度音圧がある状態にしておくのが良い。

マルチティンバー

複数のチャンネルを同時に演奏可能なMIDI音源の形式。
マルチティンバー演奏対応音源をマルチティンバー音源という。
非マルチティンバー音源の場合、音源自体に複数の音色が収録されていても同時にひとつの音色しか演奏することが出来ない。
GM規格では16チャンネル(以上)のマルチティンバーと決められているため、GM音源は全てマルチティンバー音源。

ミキサー

複数のトラックの調整を、操作しやすいようにひとつのパネルにまとめたもの。
ミキシングコンソールやミキサー卓、単に卓とも呼ばれる。
レコーディングスタジオなどで、たくさんのツマミやらボタンがズラーッと並んでいるでっかいアレ。

プロ用の数千万以上するものからアマチュア用までピンキリで、プロ用のは1チャンネル(1モジュールという)ごとに取り外しが可能。
1モジュールだけで数百万するという話。

もうちょっと現実的な製品を見てみると、8~24トラック程度を備えた製品から4チャンネル程度の簡易的な製品などがある。
楽器や機材を数多く持っていて録音などをする人は大抵持っている。
最近はデジタルミキサーというのがあり、内部にいくつかのエフェクターを内臓している製品もある。
デジタルの場合、見かけ上は16トラックでも瞬時に操作トラックを切り替えて32トラックを同時に扱えるものもある。

DAWでも同じように各トラックの調整がしやすいようにひとつにまとめたミキサー画面が用意されている。
録音をパソコン上にしたり、そもそも打ち込みなどでパソコンありきで作業をする人はミキサーよりも入出力チャンネルが複数あるオーディオインターフェイスを導入したほうが良い。
そういったオーディオインターフェイスは各チャンネルの入出力レベルを設定するためにオーディオインターフェイス内部またはドライバソフトにミキサーが付いていて、ハードウェアのミキサーの代用になる。

なお、ミキサーは「音を調整する」だけの機械で、音を録音する機能(記録媒体)はないので、MTRやパソコンに音を記録(&再生)する。
記録媒体付きのものはMTRに分類される。

ミキシング

ミキサーを使用して各トラックの音量や音質を調整すること。
ミックスダウンとほぼ同義だが、最終的な調整という意味はない。

ミックスダウン

複数の楽器の音量や音質などを調整し、最終出力すること。
トラックダウン(TD)ともいう。
普通はステレオ音源なので、最終出力したものは2ミックスと呼ばれる。

DAWでは「オーディオファイルの書き出し」などの名前でミックスしたデータを新たなファイルとして作成する機能がある。
書き出したファイルをほかのプレイヤーで聞いたりCDやMP3にするならサンプリング周波数は44.1KHz、ビット深度は16ビットにしないと再生できないことがあるので注意。

CDなどに収録する場合はミックスダウン後の2ミックス音源をさらにマスタリングによって調整する。

耳コピ

音楽を、聴こえた通りにコピーして自分で演奏したり楽譜に起こすこと。
耳コピーともいう。
DTMの場合は音楽をMIDIデータで再現する。

耳コピには音楽を「聞き取り」、「分析し」、「再現する」ことが必要となる。
単音なら聞き取れても和音やほかの音が重なると聞き取ることが難しくなってくる。
そのためある程度は音楽理論による推測や、どうしてもわからない部分、再現不可能な部分は上手く誤魔化す技術なども必要となる。

DTM初心者の場合はとにかく既存曲を耳コピすることが上達への近道となる。
比較的音数の少ない簡単な楽曲などから始めるのが良い。
ゲーム音楽などはゲーム機内の内部音源のみで演奏されているものが多いので耳コピしやすい。
(一般的なCDなどはMIDIのみでは再現不可能な音が含まれていることが多い)

ミュート

消音のこと。
ミキサーの各チャンネルごとにミュートボタンが付いていて、ミュートをオンにするとそのチャンネルの音は出力されない。

また楽器の演奏技法としてミュート奏法がある。
楽器が本来発音する音よりも曇った音を出す奏法で、ギターなどでよく使用される。
バイオリン系の楽器やトランペット系(金管楽器)などでは弱音器という器具を取り付けてミュート音を出す。
弱音器自体をミュートともいう。
トランペットのミュートは音を曇らせる目的ではなく鋭い音色に変化させるなど多くの種類がある。

ドラムでは音の余韻を抑えるために専用の器具を取り付けたりガムテープを張ったりして音を調整する方法があり、これもミュートの一種といえる。

メジャー

メジャーコードとメジャースケールの2つの意味があり、ここではメジャーコードについて説明する。
メジャースケール

メジャーコードはコードの種類のひとつで、「ルート・長3度、完全5度」の構成音から成る。
長三和音ともいう。
最も基本的で、マイナーコードと共に重要なコード。
コードネームの後に付けて「Cメジャー」などといい、「C」のように表記されている場合はメジャーコードを表す。
名前がメジャーとなっているが、別にメジャースケールの曲でしか使用してはいけないわけではない。

■Cメジャーコードの構成音
Cメジャーコードの構成音

メジャースケール

ある基準となる音から「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」の順に音を並べることにより出来るスケール。
マイナースケールに比べて明るい響きという印象がある。
もっとも基本となるスケールで、非常に多くの曲で使われている。

■Cメジャースケールの構成音
Cメジャースケールの構成音

メッセージ

MIDIで、音源に対して何らかの操作をするときに音源に送られる信号のこと。
MIDIメッセージ。
主なMIDIメッセージにはコントロールチェンジ、プログラムチェンジ、ピッチベンドなど。
ノートやシステムエクスクルーシブなどもメッセージで、要するに信号全てがメッセージ。

メトロノーム

一定の間隔で音を刻む装置。
楽器を演奏する際のテンポのガイドとして使用する。
学校の音楽室で一度は目にしたことがあるであろう、三角形で棒が左右にカッチカッチと揺れるアレ。
デジタル化された製品やシーケンサー・DAWに内蔵されているものはクリック、またはドンカマと呼ばれることが多い。

メモリ

パソコンの装置のひとつで、データを一時的に記憶しておく記憶装置。
ハードディスクとの違いは、ハードディスクは全てのデータを保存しておくもので、電源を切ってもデータは失われない。
対してメモリはハードディスクから読み出したデータや、ソフトウェアが計算したデータなどを一時的に記憶しておく領域で、電源を切るとメモリ上のデータは失われる。
ハードディスク上でメモリと同じような動作をさせることは出来るのだが、ハードディスクはメモリに比べて非常に低速なため、メモリ上にデータを展開して高速に処理をする。
処理の結果、保存が必要なデータはメモリからハードディスクに転送される。
不要になったデータは解放(消去)され、新たな空き容量として別の用途に使用することが出来る。

DTMでは、大容量のサンプルライブラリを使用する場合はメモリ容量が少ないと発音が途切れるなどで満足に使用できない場合がある。
なので出来るだけたくさんメモリを積みたいところであるが、WindowsXPなどの32Bit OSは3GBまでしか認識しない。
そういう場合は素直に64BitOSに移行するしか根本的な解決策はない。

またフラッシュメモリと呼ばれるものは電源を切ってもデータは失われない。
USB接続タイプのフラッシュメモリなどを使用すれば手軽にデータを持ち運びが出来る。

メロディックマイナースケール

マイナースケールのひとつ。
詳しくは→マイナースケール

モード

ある音階(スケール)の構成音に、基準となる音(中心音)を定義したもの。
旋法。

同じ「ド」という音でも、Cメジャースケール上の「ド」とAマイナースケール上の「ド」とでは機能が異なる。
つまり中心音を決めることで、音階上の音程の性格が決まることになる。

ハ長調は「全音階の"ド"を中心音とした音の並び」で、教会旋法のCイオニアンモードと等しい。
「スケール」という言葉はモードの概念を含んで使用されることが多い。

モジュレーション

MIDIのコントロールチェンジメッセージのひとつで、音程を揺らすときに用いられる。
GMではCC1番で設定し、値が大きいほど揺れる幅が大きくなる。
主にビブラートをコントロールするときに用いられる。
MIDIキーボードにはモジュレーションをコントロールするためのモジュレーションホイールが搭載されているものが多い。

シンセサイザーではLFOを使用して音にモジュレーションを掛けることが出来る。

モノフォニック

シンセサイザーの発音方式のひとつで、ひとつのチャンネルにつき単音しか発音できないもの。
和音が発音できる音源であってもモノフォニックモードが搭載されていることが多い。

一般に広く使用されているDTM用音源はひとつのチャンネルにつき複数の音を同時に演奏できる。
(ポリフォニックという)
しかし、管楽器などの構造的に和音が発音できない楽器を打ち込む場合、ポリフォニックモードからモノフォニックモードに切り替えることでよりリアルな演奏が再現できる(場合もある)。

MIDIコントロールチェンジではCC126がモノモード・オン。
CC127がポリモード・オン。

モノラル

音の再生方式のひとつで、ひとつのスピーカーから音を再生すること。
今はサラウンドでない限りほとんどの楽曲はステレオ方式となっているが、常に良い環境で楽曲を聴いてもらえるわけではない。
場合によってはモノラルで再生されることもあるので、ステレオ時のみだけでサウンドチェックをするのではなく、モノラルで再生しても成り立つように音を作っておく必要がある。