メジャー/マイナー以外のスケール2
教会旋法のほかにもよく使用されるスケールをいくつか紹介します。
ペンタトニックスケール
ペンタトニックスケールはスケールを5分割したスケールです。
(penta=「5」の意味)
五音からなる音階ならペンタトニックスケールと呼べるので色々な組み合わせが可能ですが、メジャー・ペンタトニックスケールとマイナー・ペンタトニックスケールがよく使用されます。
■メジャー・ペンタトニックスケール
■マイナー・ペンタトニックスケール
メジャーペンタトニックスケールはメジャースケールの4、7度抜き、マイナーペンタトニックスケールはナチュラルマイナースケールの2、6度抜きと同じ構成音となります。
ペンタトニックスケールが多用されるのはギターなどのソロの演奏です。
バックは通常のメジャー/マイナースケールで作り、メロディはペンタトニックスケールを使用します。
(二つのモードを同時に演奏するので「ポリモード」「複旋法」という)
半音関係となる音程がないため、適当に音を鳴らしても濁った響きにならず安定したメロディとなるのでアドリブでもよく使用されます。
ブルーノートスケール
ブルーノートスケール(ブルーススケール)はメジャースケールに♭iii、♭v、♭viiの音程(短3度、短5度、短7度)の音程を加えたスケールです。
そのまま加えると構成音が10個にもなるので、実際の演奏では音数を減らすことが多いです。
これらの音程をブルー・ノートといいます。
この音程は本来は厳密には半音ではなく、1/4音程などの微妙な音程で演奏しますが、ピアノなどは半音単位の音しか演奏できないため前後の音程と共に装飾的に演奏することで「なまり」を表現します。
■ブルーノートスケール
■メジャーブルーススケール
■マイナーブルーススケール
それぞれメジャー/マイナーペンタトニックにひとつ音を加えた音階となっています。
マイナーブルーススケールはブルーノートがすべて含まれるので特に雰囲気があります。
ジャズ、ブルース、ロックなどで多用されます。
オルタードスケール
オルタードスケールは教会旋法の項で紹介したスーパーロクリアンと同じ構成音です。
このスケールはドミナントコード上でメロディを演奏するときによく使用されます。
■オルタードスケール
メジャースケールの主音以外を半音下げたスケールなのですが、ドミナントコードと絡めた説明をするため上図は♭と#を混在させた表記にしています。
実際に発音する音程は変わりません。
オルタードスケールはマイナー系のドミナントセブンスコードのテンションをすべて含むスケールです。
例えばC7ならばi(C)はルート音、iii(E)は第3音、vii(B♭)は第7音となります。
残りはすべてテンションノートで、ii(D♭) は♭9、iii(D#)は#9、v(F#)は#11、vi(A♭)は♭13にそれぞれ該当します。
つまりドミナントセブンスコードの時はオルタードスケールを弾けばスケールから外れることはありません。
スケールには和音の第五音(C7なら「ソ」)が含まれませんが、コードトーンなので使用しても問題ありません。
メジャー系スケールでは使えませんが、マイナー系に一時転調(モーダルインターチェンジ)すれば使用できます。
ホールトーンスケール
ホールトーンスケール(全音音階)は、すべての音程を全音で並べた音階です。
1オクターブをちょうど六等分したスケールで、スケール上の音符は6つになります。
■ホールトーンスケール
すべての音程が等間隔なので、音程による音の性格がありません。
作曲する上ではCやDといったキーを設定しますが、その演奏を聴いて主音と認識できる音はありません。
強いて言えば最初に演奏された音やベース音を主音と認識できるかもしれないという程度です。
メジャー系ともマイナー系とも言えない曖昧な雰囲気を出すことができます。
このスケールだけで曲を作るのは簡単とも言えますし難しいとも言えます。
何しろすべて音の性格が同じなので、どの音を鳴らしても差が感じられないからです。
手軽に不思議な雰囲気を出すことができますが、そればかりでは単調にしかならず、このスケールだけで「ちゃんとした曲」にするのは難しいです。
イントロや間奏などの曲の一部に使用すると効果的です。