ダイアトニックコードのおさらい

あるスケール上に現れるノート(音符)だけを使用したコードをダイアトニックコードといいます。
マイナースケールは3種類あるので、メジャースケールと合わせて押さえておくべき基本のスケールは4つ存在します。

スケールの構成音がよくわからない人は初心者講座のメジャースケールマイナースケール3つのマイナースケールの項を参照してください。
四和音については4和音についても参照してください。

以下がそれぞれのスケールのダイアトニックコードです。

■Cメジャー・ダイアトニックコード
Cメジャー・ダイアトニックコード

■Cナチュラルマイナー・ダイアトニックコード
Cナチュラルマイナー・ダイアトニックコード

■Cハーモニックマイナー・ダイアトニックコード
Cハーモニックマイナー・ダイアトニックコード

■Cメロディックマイナー・ダイアトニックコード
Cメロディックマイナー・ダイアトニックコード

コードはそれぞれ性格が異なり、適切に使い分け展開させていくことで音楽を作っていきます。
この「コード進行」が作曲・アレンジでは重要になります。

曲中で使用されるコードはその曲のスケール上のダイアトニックコードが主となりますが、アレンジ次第でそれ以外のコードも使用されます。
ここでは四和音で表示していますが三和音や五和音なども使用されます。
二和音なども使用することがありますが、三和音の音程が省略されたものと解釈されます。

スケールの呼び方

メジャースケールは日本語で「長調」、マイナースケールは「短調」です。

「○○スケール」と書くのは長ったらしくなるので、「Cmajスケール」とか「ハ長調」などと書くこともありますが、特別な意図があるわけではありません。

「ドレミファソラシ」は「ハニホヘトイロ」に対応します。

その他の呼び方

ナチュラルマイナースケールは「自然的短音階」
ハーモニックマイナースケールは「和声的短音階」
メロディックマイナースケールは「旋律的短音階」
という日本語名があります。

これらの呼び方は当サイトでは基本的に行いませんが、他の解説サイトや楽典では使用されることがあります。

ダイアトニックコードの機能分類

コードが持つ性格をコードの機能(ファンクション)といいます。
コードの機能はトニックサブドミナントドミナントの三つに分けられます。

当サイトではトニックは「T」、サブドミナントは「S」、ドミナントは「D」と略記します。

各スケールのダイアトニックコードを機能別に分類すると以下のようになります。

メジャースケール
機能 T S T S D T (D)
コード IM7 IIm7 IIIm7 IVM7 V7(9) VIm7 VIIm7b5
C key CM7 Dm7 Em7 FM7 G7(9) Am7 Bm7b5
A key AM7 Bm7 C#m7 DM7 E7(9) F#m7 G#m7b5
ナチュラルマイナースケール
機能 Tm Sm Tm Sm (Dm) Sm (Dm)
コード Im7 IIm7b5 bIIIM7 IVm7 Vm7(b9) bVIM7 bVII7
C key Cm7 Dm7b5 EbM7 Fm7 Gm7(b9) AbM7 Bb7
A key Am7 Bm7b5 CM7 Dm7 Em7(b9) FM7 G7
ハーモニックマイナースケール
機能 Tm Sm Tm Sm D Sm D
コード ImM7 IIm7b5 bIIIM7#5 IVm7 V7(b9) bVIM7 VIIdim7
C key CmM7 Dm7b5 EbM7#5 Fm7 G7(b9) AbM7 Bdim7
A key AmM7 Bm7b5 CM7#5 Dm7 E7(b9) FM7 G#dim7
メロディックマイナースケール
機能 Tm S Tm S (D) Tm (D)
コード ImM7 IIm7 bIIIM7#5 IV7 V7(9) VIm7b5 VIIm7b5
C key CmM7 Dm7 EbM7#5 F7 G7(9) Am7b5 Bm7b5
A key AmM7 Bm7 CM7#5 D7 E7(9) F#m7b5 G#m7b5

コードネームなどで書かれてもあまりイメージできないと思うので、ここではあまり深く考えなくて良いです。

トニックはサブドミナント、ドミナント、別のトニックへ進行できます。
サブドミナントはドミナント、トニックへ進行できます。
ドミナントはトニックへ進行できます。
あくまで基本的な進行ですので、それ以外の進行はしてはならないという意味ではありません。

上の表の各スケールで太字になっているものがメインとして使用されるコードです。
カッコで囲われているものは使用されることが少ないものです。
マイナースケールはナチュラル、ハーモニック、メロディックのそれぞれのスケールから最適なコードを使用してひとつのマイナースケールとして扱います。

「Tm」「Sm」「Dm」はそれぞれ「トニックマイナー」「サブドミナントマイナー」「ドミナントマイナー」の略です。
メジャースケールでメジャーコードだったものが、マイナースケールではマイナーコードになっていることを示すためにこのように分類します。
機能としてはメジャースケールの場合と同じですが、ドミナントマイナーはドミナントとしての機能が弱いため使用されることは少ないです。

ハーモニックマイナースケールの「V7」と、メロディックマイナースケールの「V7」は同じコードで、機能も同じです。
しかし9度の音程が異なり、ハーモニックマイナースケールの方がコードの機能として適切なものになります。
7度までしか使わない場合は違いはありませんが、コード上に乗せられるメロディにも違いが出るのでどちらのスケールを使用するかは把握しておく必要があります。

これ以降はメジャースケールで説明しますが、マイナースケールでも基本的に同じ考え方です。
「T」は「Tm」に、「S」は「Sm」に置き換えて考えて良いですが、前述の通り特別な意図がない限り「D」は「Dm」ではなく「D」のままで考えてください。

ちなみに、「長7度」とか「短7度」がどの音程になるかがパッと出てこない場合は、主音(1度)から上に数えるのではなく下に数えるとすぐにわかります。
1度の半音下が「長7度」、その半音下が「短7度」です。
さらにその半音下が「減7度(長6度)」です。

m7b5とdim7

紛らわしいかもしれないので補足しておきます。
m7b5コードとdim7コードコードは似ているようで別のコードです。

■Cm7b5コードとCdim7コード
Cm7b5コードとCdim7コード

「Cm7b5」「Cm7(b5)」「Cm7(-5)」は表記が違うだけで同じコードです。

Cm7b5は「Cmコードの5度を半音下げ、短7度を付加したコード」です。
「シーマイナーセブンス・フラットファイブ」と読みます。
ハーフディミニッシュ(セブンス)とも言います。
「φ」という記号で表されることもあります。

Cdim7は「Cmコードの5度を半音下げ、減7度を付加したコード」です。
読みはディミニッシュセブンスコードです。
「○」という記号で表されることもあります。
減7度は長6度と音程としては同じですが、コードの意味が異なるのでダブルフラットで全音下げます。

「Cdim」というコードもあり、これはCdim7コードから7度の音を省いたもので、読みも「シーディミニッシュ」です。
しかし「ディミニッシュコード」というとdim7(ディミニッシュセブンス)を指すことがあるので注意してください。

M7#5とaug7

同様に、「#5」「+5」は5度の音程を半音上げたコードとなります。
「CM7(#5)」なら「ド・ミ・ソ#・シ」という構成音になります。

「Caug」コードは「ド・ミ・ソ#」という構成音です。
(オーグメントコード)
「CaugM7」コードは「CM7(#5)」と同じコードです。

「Caug7」「C7(#5)」「C7(+5)」はそれぞれ同じ意味で、Caugコードに短7度を重ねたコードで「ド・ミ・ソ#・シ♭」という構成音になります。
(aug7コードはダイアトニックコードには登場しません)

■CM7#5コードとCaug7コード
CM7#5コードとCaug7コード